第二回ライブの状況です

2021年12月26日にようやくポーニー第二回ライブを開催することができました。

もともと9月25日の予定だったのですが、ちょうど第5波の影響でリハーサルを含めて事前練習が全くできなかったのでやむなく2か月延期となっておりました。しかし、ちょうどこのあたりは感染者も少なく、数日後のお正月明けからはオミクロン株の第6波が急速に拡大し始めたので、結果的にはベストな日取りではありました。このころはここ長崎でも感染者0人が続いておりましたので、比較的安心してライブ開催することができました。これが一か月遅い1月後半だったらアウト(再延期)でしたね。(;^_^A

ところで、もともと無観客ライブ配信のつもりで計画を進めていたのですが、前述のとおり感染者もおちついていたので何名様かは会場にご案内しようかと思っておりましたが最終的にはあきらめました。理由は最初の動画を見てもらえればわかると思います。演奏者が多すぎました(笑)。とてもお客さんを入れれるようなスペースはありませんでした。なんせ8人と横に長い箏ですからね。

鄙樂~十三絃筝と七奏者の爲の(酒井健吉)

この曲のタイトルを迷わず読める方はいないでしょう。かくいう私もまったくわかりませんでした。

正解は「ひながく」です。「鄙(ひな)」という字は「ひなびた」という意味で、タイトルの「鄙樂」とは「ひなびた音楽」であって、都会化されていない、洗練から遠い、田舎風な土俗的な音楽という意味だそうです。

この曲は今回ライブを行うにあたり、作曲者である酒井健吉氏が書き下ろしてくださった曲です。

残念ながら、録音の関係で最初数分間収録できていませんでしたので、動画は途中からスタートとなってしまいました。また、動画を見ていただければわかると思いますが、ライブハウスというかなり狭い場所に押し込めて演奏している関係上、この曲の良さを十分に引き出せていないようにも思いますので、また日を改めて収録しなおしたいと思います。

箏独奏は、長崎で活躍されています箏奏者、小林由佳さんです。

ライブ動画: 鄙樂~十三絃筝と七奏者の爲の

クラリネット三重奏曲 作品11《街の歌》(ベートーベン)

一転して、これぞ「クラシック音楽」ともいえるベートーベンです。

作品番号が11番なので、相当若いころの作品らしいです。作曲経緯なんかはあまり詳しい記録がないみたいなのですが、当時ウイーンの街中ではやっていた歌に着想を得て作曲されたとか。先の鄙樂みたいに、作曲者に直接聞けるといいのですが、さすがに200年近く前ですからねぇ。でも、非常に明快な楽しい曲です。

ライブ動画: クラリネット三重奏曲 作品11《街の歌》

ギターのためのトッカータ(伊福部昭)

「伊福部昭」といえば、ゴジラのようにとどろくようなオーケストラ作品のイメージですが、この頃は管弦楽法の下巻と上巻の増補版を執筆中で、古今東西のスコアを読みまくっていてオーケストラスコアには食あたり気味になっており、ギターソロの様なシンプルなものへの創作へ向かったという事です。

この曲について、作曲者自身の短い解説があるので引用します。

「トッカータとは、本来は鍵盤楽器のための用語で、速度の早い同一時価の音符で終始するのが特徴とされている。 この作品は、ギターの最も特性的な効果であるカンパネラ奏法を用いて、鍵盤楽器とは異なったギターのための無窮動を試みたものである。 形式は自由な三部形式で、主旋律はかなり変形されてはいるが、民族旋法が根幹となっている。」

ライブ動画:ギターのためのトッカータ

タンゴの歴史(ピアソラ)

作曲者のアストル・ピアソラは1921年の生まれ、ということは、今年は2021年ですからちょうど生誕100年ということになります。しかもライブ当日は12月26日でしたから、おそらく生誕100周年イベントのほぼラストの催しだったのではないかと勝手に思っています。

とはいいましても、実はライブを企画した段階では生誕100年という事実には気づいておりませんでした。あとから、「そういえば今年100年目だよね~」といわれて気づいたので完全な悪乗りです。。。(;^_^A

この曲の編成はフルートとギターですが、「なんでフルートでタンゴなの?」と疑問に思われるかたもおられるかもしれません。「タンゴといえばバンドネオン」というのが一般的な常識ですが、実はタンゴの原形が形成されたのは1870年ごろのブエノスアイレスのとある港町で、そこでフルート奏者がギター伴奏を伴って流していた、ということらしいです。このあたりの事情は、バンドネオン奏者の小松亮太さんが、「タンゴの真実」という本で詳しく書かれているので、興味があるかとは一度ご覧になられてはいかがでしょうか。

この曲は、1曲目から「ボーデル1900」、「カフェ1930」、「ナイトクラブ1960」、「コンセール ドジュールデュイ(Concert d’aujourd’hui)」と、1900年代のタンゴの創世期からの歴史をつづった内容となっており、そのうち最初の3曲を取り上げています。

ライブ動画:タンゴの歴史

リベルタンゴ(ピアソラ)

お次は同じピアソラつながりで、リベルタンゴです。

「リベルタンゴ」といえばチェロで朗々と。。。なんてイメージを持たれた方、完全にヨーヨーマに影響されてますよ。もともとピアソラがこの曲を発表した時はチェロは入っておりませんで、ギターやキーボードなどエレクトリック楽器を用いたロックというか、フュージョン的な趣が強かったということです。でも今回は、ヨーヨーマのイメージでチェロを入れてみました。なんともミーハーですね(笑)。

ところで「リベルタンゴ」は自由という意味の「リベルタ」と「タンゴ」を組み合わせた造語で、さしずめ「自由なタンゴ」といったところかと思います。「タンゴの破壊者」の異名をもつピアソラですが、年を追うごとに作風をどんどん変化させていき、この「リベルタンゴ」では前述のとおりロックの要素を取り入れており、まさに「踊るためのタンゴ」から踊りという制約を取り払った自由なタンゴといったところなのでしょうか。

今回のライブも、堅苦しく思われがちなクラシック音楽を、コンサートホールから解放したい、という思いから始まっており、まさに同じような思想だと思いまして今回の最後の曲としてとりあげてみました。

ライブ動画:リベルタンゴ

おわりに

今回はライブハウスに箏を持ち込んだり、古典と現代作品を並べてみたり、クラシックとジャズを混ぜてみたりと、第二回にして自由奔放に取り組んでみました。また、無観客ライブ配信という新たな演奏形態にもチャレンジしてみました。皆さまいかがでしたでしょうか。

通常のライブ形式ですと目の前にお客様がおられるのでなんとなく反応も伝わってくるのですが、配信だとネットの向こうでどうやって聞いておられるのか、はたまた途中で飽きて聞いてもらえなかったのか、まったく反応がわかりません。とりあえず当日お店での配信動画をそのまま公開し続けたところ、幸いなことに、1月末時点でおよそ1000程度の視聴回数が得られたみたいで、それなりに楽しんでもらえたのかなぁ~、なんて思ったりもしています。次(第3回)はぜひ有観客でやりたいですね。

一応参考までに、お店のライブ動画アドレスも載せておきます。こちらは途中の入替とかも入っているので、ある意味ライブ感満載(いや、ドタバタ感?)といった感じです。リベルタンゴの前で「ベースの電源がない!」とあわててセッティングやり直してたりとか、事故もありました。ちなみにアンコールはこちらにしか入っていません。気になる方は最後までご覧ください。

ライブ動画:当日配信動画